呼吸って、不思議だと思いませんか。
自分でゆっくりにもできるし、
速くすることもできる。
その気になれば止めることだってできる。
でも、
寝ている間は、勝手にずーっと続いている。
意識して触れられるのに、
無意識でもちゃんと守られている。
こんな働きをしている機能って、
実は身体の中でもそんなに多くないんですよね。
普段はもちろん、
わざわざ呼吸のことなんて考えてません。
自動で行われて、
必要な分だけ繰り返されている。
それでちゃんと生きていける。
本当によくできています。
でももし、
その“自動運転の設定”が、
少しずつズレていたらどうでしょう。
忙しさや緊張、
滝の様に情報を浴び続ける毎日。
頭の中は、やるべき事でぎゅうぎゅう詰めに。
そんな中で、呼吸は知らないうちに
速くなったり、浅くなったりします。
本人は「普通」と思っていても、
身体の中では静かなオーバーワークが起きていることもあるんです。
だからこそ必要なのが、
意識して介入する「時間」。
「深く吸おう」と頑張るよりも、
ちゃんと吐けているか?
力み過ぎてないか?
このリズム、速くないか?
そんなことを、少しだけ確認する「時間」です。
生理学的に見ると、
呼吸は大脳からも、脳幹(延髄)からもコントロールを受けています。
つまり、
意識的な操作が、
自動で行われているパターンを上書きする構造を、もともと持っているんです。
だから、練習が意味を持つ。
ここが呼吸の面白いところですよね。
もちろん、一回やったからってすぐに変わる、
というものではありません。
でも、穏やかなリズムや
静かな呼吸を身体が繰り返し経験していくと、
神経系はそれを
「これがいつもの状態だよね」と覚えていきます。
いわば、基準が少しずつ書き換わっていく。
意識して整えた呼吸が、
やがて無意識の呼吸に影響していく。
遠回りのようで、
実はとても確実な方法なんですよね。
だからこそ思います。
一日のどこかで、
呼吸に気づく時間をつくること。
それは単なるリラックスではなく、
身体の制御システムそのものに触れている行為。
少し大げさに聞こえるかもしれませんが、
僕は、そう思っています。
実際、
呼吸のリズムは、自律神経活動や血中の二酸化炭素バランスとも密接に関わっています。
だからこそ、穏やかな呼吸を繰り返すことが、結果として全身の安定につながっていく。
呼吸はシンプルですが、
決して単純ではないんですよね。
脇田達也